【業界研究】ブライダル業界の現状・動向・課題について
初回公開日:2021年4月19日
更新日:2019年3月28日
記事に記載されている内容は2021年4月19日時点のものです。現在の情報と異なる可能性がありますので、ご了承ください。
また、記事に記載されている情報は自己責任でご活用いただき、本記事の内容に関する事項については、専門家等に相談するようにしてください。
ブライダル業界の現状
日本における婚礼は、大正時代に現代の結婚式の基本形が作られました。そして、昭和20年代後半に儀式の場が家から式場に移ることで、披露宴が行われるようになりました。婚礼自体は元々、室町時代に武家社会の一部の間だけで行われており、江戸時代末期に一般人にまで普及するようになりました。
挙式と披露宴のあり方の移ろいは、その時々の景気に左右されます。バブル以前に派手な挙式をするのは芸能人などの一部に限られていましたが、バブル期を迎えると一般人の間でもハデ婚がブームになり、バブルを象徴するかのような派手な挙式をする人が増えました。
豪華な建物と、優雅な気分にしてくれる内装とインテリアが施された結婚式や披露宴を行うことが世間の憧れとなり、そのような式が行える式場が流行りました。
その頃、高級感や格式を重んじる式場として、ホテルにおける式も流行り、来賓に豪勢な食事を振る舞って、舌鼓を打ちながら披露宴を楽しむスタイルが確立されていきました。
しかし、バブル崩壊と同時に結婚式場は低迷を続け、挙式のスタイルがハデ婚から地味婚へと志向が変わっていきました。最近では地味婚でありながら、個々のカップルのニーズに合わせたブライダルプロデュースが台頭してくるようになり、式場側が用意する一辺倒のサービスではなく、独自性のある挙式をすることが近年は流行っています。
バブルは崩壊しても、日本人は比較的豊かな生活を送っており、かつ結婚となると親が資金を出してくれるケースが多いため、その時代に合わせた挙式を執り行うことができています。
式場や宴会場の設備の充実度や、披露宴における演出や細かいサービスなどのソフト面が追及されるようになり、ブライダル業界は発展と成長を続けてきました。
そして、経済不況、少子化や晩婚化、未婚化、国際化などの価値観の変化や経済状況の影響を受けながら、ハデ婚からジミ婚に、そして昨今のこだわり婚へと挙式のあり方が変化し、独自性やオンリーワンを求める消費者の対応に追われています。
特に結婚しなければ子供や家庭は持てない、という昔からの考えに疑問を持つ人が増え、形式にとらわれずに自身の考えやスタイルに合わせた生活を営む人も増えて来ました。
欧米の婚外子の割合が半数にまでのぼることを見ても、これまで常識とされてきた結婚をして夫婦で一つの家庭を築き上げていく、という従来の考え方が、現代の価値観や経済が目まぐるしく変化する社会において、限界に近づいてきているようです。
それに気づいて実際に新しい価値観のもと、試行錯誤しながら各家族のあり方について新たな形を欧米では作り上げていく風潮が広まってきており、この流れが自然に日本にも広まってきています。
社会全体の結婚に対する意識が徐々に消極的になってきており、お互いの意志を尊重しながら、責任は果たしながら、男女が共に生活をしていくという自由恋愛の形が今後も増えていく傾向にあります。
この新しい価値観による家族のあり方は、ブライダル業界にとってみては大打撃です。結婚しない人が増えるということは、当然ながら結婚式が行われる回数が減ることを意味するので、そういった層の人達を今後どのように取り込んでいくかがブライダル業界にとって大事な戦略となってきています。
ブライダル業界はリピーターはほぼゼロに近い特殊なマーケットです。
また、ターゲットも明確に限られており、広く浅くアプローチするなんていうこともできない業界です。さらに、客単価が非常に高いという特徴のある業界のため、経済状況や時代の価値観に影響を受けやすい業界です。
そのため、時代背景や消費者ニーズをしっかりと把握し、それを式のあり方にしっかりと反映できる業者が今後は生き残っていける厳しい時代になってきています。
基本情報
ブライダル業界の市場規模は2,652億円で、非常に小さな規模の業界であることが分かります。これは挙式、披露宴だけの市場規模になりますが、結婚指輪や新婚旅行など、結婚に関連するものを含めると約4兆円の規模に膨れ上がる業界と言われています。
ブライダル業界で仕事をしている労働者の数は5,080人で、その労働者の平均年齢は35.3歳になります。
ブライダル業界は女性の憧れの職業のひとつとして存在しているので、若い女性がメインの労働者となっており、他の業界と比較すると平均年齢が非常に若くなっています。
この業界の労働者の平均勤続年数は7.8年と短い期間になっています。これも、働いている人が若い女性ということもあり、寿退社や、妊娠、出産などのライフイベントに沿って退職していく人が多いことが理由に上げられます。
ブライダル業界の平均年収は514万円とあまり高くありません。当然、経験の浅い若い女性が多い職場のため、男性のベテラン社員がいる他の業界と比べると低い水準であることは納得せざるを得ません。
現状1:仕事内容
この業界の仕事内容は、個々の役割で細かく分類すると、多くの仕事があることがわかります。
- 新郎・新婦の希望や予算に合わせた挙式
- 披露宴を提案するウェディングプランナー
- 挙式・披露宴の宴会場で食事の準備や支給
- 片付けまでを行うバンケットサービス
- 披露宴の進行役を務める司会者
- 挙式・披露宴のお色直し
- 写真撮影などの各場面においてヘアメイクをするヘアメークアーティスト
- ブーケや挙式・披露宴会場を鮮やかな花で雰囲気を盛り上げるフラワーコーディネーター
- 挙式・披露宴全体を通して、各場面にふさわしいドレスやタキシード、着物などのファッションを提案するドレスコーディネーター
などの仕事があります。
現状2:業界シェアランキング上位3位
ブライダル業界のシェアランキングはこのようになっています。
1位:テイクアンドギヴ・ニーズ(売上高:607億円 シェア率:22.9%)
2位:ワタベウェディング(売上高:477億円 シェア率:18.0%)
3位:ベストブライダル(売上高:474億円 シェア率:17.9%)
3位のベストブライダルは海外ウェディングまでを手掛けていることが特徴です。国内におけるウェディングも充実しており、お台場や赤坂などの首都圏をはじめ、横浜、大阪、名古屋、千葉などにも会場を持っているので、海外だけでなく国内の挙式も素敵なサービスを提供しています。
結婚式はもちろんですが、結婚にまつわる他の部分を相談できることもベストブライダルの良いところです。
2位のワタベウェディングはリゾ婚と呼ばれる、リゾートでの結婚のプロデュースに強みを持っています。もちろん、国内の挙式・披露宴も結婚に関する全てをサポートしてくれます。
また、ワタベウェディングの特徴として、スタジオなどにおけるフォトウェディングも行ってくれることがあげられます。
様々な事情で結婚式を挙げる予定はないけど、記念写真だけを撮りたいというカップルに人気のサービスです。さらに、ワタベウェディングは割引プランを多く用意しているので、予算が限られているカップルに人気の会社となっています。
1位のテイクアンドギヴ・ニーズは世界にたった一つしかないウェディングを創造する、というコンセプトのもと、首都圏、地方問わずに全国に式場を持っている会社になります。カップルの要望にしっかり耳を傾けて、個々に最適な挙式、披露宴をプロデュースすることが特徴です。オーダーメイドのハネムーンを作ってくれることも人気の秘訣となっています。
現状3:平均年収ランキング上位3位
ブライダル業界の平均年収ランキングはこのようになっています。
1位:AOKIホールディングス(739万円)
2位:アイエーグループ(723万円)
3位:千趣会(686万円)
ブライダル業界全体の平均年収は514万円で低い水準ですが、業界有数の会社はそれなりの給料がもらえることが分かります。
スーツのAOKIが堂々の1位にランクインしていますが、お台場や表参道、桜木町に式場を構えているアニヴェルセルは、AOKIホールディングスが運営している式場になり、国内の式場の中では有数クラスの人気を誇っています。
業界の動向
動向1:市場動向
中長期的な視野で見ると、人口減少、必ずしも結婚を必要としない新しいカップルの価値観の形成など、縮小が見込まれる業界となっています。しかしながら、婚礼ビジネスは底堅いビジネスであり、客単価は以前として高額な特殊な業界です。
全体の母数が減ってきていることもあり、今後は業界再編が本格的に始動する様相であり、これまでとは明らかに異なる状況も見受けられるようになりました。業界を包み込む状況は厳しい環境にありますが、そのような状況下においても近年新たに上場した企業が出てきており、注目度は高い業界と言えるでしょう。
動向2:業界の課題
ブライダル業界の最大の課題は、挙式・披露宴を行う件数が減っていることがあげられます。しかし、件数を増やすことはウェディング業界が働きかけたり、努力することで何とかなるものではないため、かなり深刻な問題と言えます。
そこで、ブライダル業界が売上維持、もしくは拡大していくための方策として考えているのが、挙式・披露宴1件当たりの単価を高くすることです。1件1件の利幅を増やすことで、利益を確保していこうという試みです。
結婚式を行う新郎新婦の最近の動向は二極化しており、一生に一度の特別なものだから、お金なんて気にせず理想の結婚式を上げたいという考えと、結婚式にはお金を掛けずに、ハネムーンや新居などの他のものにお金を使いたいという地味婚の考えです。
どちらもブライダル業界にとっては大切なカスタマーですが、慈善事業で式場を切り盛りしているわけではないので、豪華な結婚式を求める新郎新婦に頼りがちな側面があり、利益を追求してしまうことによって逆にマイナスイメージを植え付けてしまうことがある悩みが業界の課題になっています。
動向3:業界の今後の将来性
ブライダル業界は、少子高齢化、人口減少、新しい価値観などの広まりによって厳しい状況が続くものと見られています。実際に国内の婚姻件数は減ってきています。
しかし、直近のブライダル業界の業績は年々増加傾向にあり、好調をキープしています。その背景は晩婚化の影響によって、1件あたりの単価が上昇していることにあります。大手どころの結婚式を運営している会社は、売上高がいずれも昨対比でプラス決算となっており、売上拡大をしてきています。
しかし、この現状を楽観視することができず、競争も激しくなることも予想されるので、各社がさらなる独自性や強みを持って新郎新婦に提案をしていかないと厳しい状況になってきています。
おすすめの業界研究本
ここでは、就活生がブライダル業界を研究するときにオススメの本をご紹介します。
- 図解入門業界研究最新ブライダル業界の動向とカラクリがよ~くわかる本[第2版]
- ブライダルのお仕事 2017
- 世界で有数素敵なウェディングシーンのつくり方
- ウエディングプランナーになりたいきみへ ―笑いと涙の結婚式
業界研究をすれば、就活の戦い方がわかる
いかがでしたでしょうか。
この記事だけでも、業界の展望や各企業の力関係など、様々な発見があったかと思います。業界研究をせずに企業だけを調べても、業界全体の流れがわからず、狭い視野での企業研究になってしまいます。
自分の志望する業界は、かなりの時間を割いてでも研究するべきでしょう。
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