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2018年11月03日

「警鐘」の意味と使い方・読み方・例文・類語・「警笛」の違い

この記事では「警鐘」という言葉を取り上げています。何となく意味は分かるという人も多いでしょうが、「警告」や「警笛」など類語も多く、使い分けが難しい言葉です。それらとの違いが分かるように例文を交えてできるだけ分かりやすく解説しています。ぜひ読んでみてください。

「警鐘」の意味と使い方・読み方・例文・類語・「警笛」の違い

「警鐘」の意味と使い方

「警鐘」とは「危険の訪れを知らせるために鳴らす鐘」「危険に対する注意を促すもの」を意味する言葉です。現代でもしばしば耳にする言葉ですが、「警告」「警笛」など、類語が多くあるので使い分けが難しい言葉です。

この記事では「警鐘」の意味と使い方を詳しく解説します。

元々の意味

「警鐘」の元々の意味は「危険の訪れを知らせるために鳴らす鐘」です。ここでの「危険」とは、主に火災や水害などの自然災害を指します。

かつての日本、もしくは日本以外の国でも何らかの危険を人々に知らせる際には鐘を打ち鳴らしていました。昔の技術では、人が鐘を打ち鳴らして音を出すしか方法がなかったためです。

「警鐘」とは元々はこの鐘を指す言葉です。しかし、技術が進歩した現在では、人々に危険をを知らせるものとして使われることがほとんどなくなってしまったので、この意味で「警鐘」が使われることはあまりありません。

現代的な使い方

「警鐘」は現代では「危険が迫っていることを知らせる物事」という意味で使われることがほとんでです。元々はあくまで「鐘」を指す言葉ですが、この意味の場合は「鐘」のような具体的な物ばかりを指すとは限りません。

何か悪い事態が起きそうな前兆のような、ぼんやりとした物事を「警鐘」ということもできます。元々の意味と違い、「物」だけでなく「事」にも使えるという点が重要です。この意味での「警鐘」は「警鐘を鳴らす」という形でよく使われます。

「警鐘」の読み方

「警鐘」は「けいしょう」と読みます。どちらの漢字も一般的な音読みをしているだけなので、それほど難しい読み方ではありません。ただ「警鐘」の漢字の読み方や意味を知っておくと、言葉の意味をさらに詳しく理解できます。

ここでは「警鐘」で使われている漢字について詳しく解説します。

「警」の意味と読み方

「警」という漢字は音読みで「けい」「きょう」、訓読みで「いましめる」などと読みます。音読みでは「けい」と読む言葉がほとんどですが、「きょう」と読む言葉もあります。「警策(きょうさく、禅宗で使われる木製の棒、けいさくとも読む)」などです。

「警」という漢字には「注意を促す、身を引き締めさせる」「すばやい」などの意味があります。現在では前者の意味で使われることがほとんどです。

「警」が使われている漢字には「警戒(けいかい、あらかじめ注意しておくこと)」「警備(けいび、有事に備えて防備すること)」「警報(けいほう、災害などの危険が迫っていることを人々に知らせること、またその知らせ)」などがあります。

「鐘」の意味と読み方

「鐘」という漢字は音読みで「しょう」「しゅ」、訓読みで「かね」と読みます。音読みでは「しょう」と読む言葉がほとんどです。「しゅ」と読む言葉は日本語ではまずありません。

「鐘」という漢字の意味は「かね、つりがね」「打楽器のかね」「時計」などです。現代では「かね、つりがね」という意味で使われる言葉がほとんどです。

「鐘」が使われている言葉には「鐘楼(しょうろう、寺院で鐘(かね)をつるすための建物)」「梵鐘(ぼんしょう、鐘楼につり下げる鐘)」「鐘声(しょうせい、鐘の音)」などがあります。

「警鐘」を使った例文

「警鐘」は使い方が難しい言葉なので、典型的な例文をいくつか知っておいて、それらを参考にすると自然に使えるようになります。

ここでは「警鐘」を使った例文をいくつか取り上げて解説します。

警鐘を鳴らす

「警鐘」を使った慣用的な表現に「警鐘を鳴らす」があります。「警鐘」という言葉が使われる場合は、この形で使われることが非常に多いので、ぜひ覚えておきたい表現です。例文を見てみましょう。

・昨今世界中を襲っている自然災害は、人類の行き過ぎた科学技術による自然破壊に警鐘を鳴らしている可能性があります。

例文は世界中を襲う自然災害を、人類の科学技術による自然破壊に対する警告(よくないことが起こるので気をつけるようにと知らせること)と捉えた言葉です。

「警鐘」の元々の意味は「かね」なので、それを「鳴らす」ことを「危険を知らせる」ことだと捉えることで、「警鐘を鳴らす」という形が生まれました。

「警鐘する」は正しい?

「警鐘」を使った言葉で「警鐘する」という表現がしばしば見られますが、実は間違いです。どこが間違っているのかを例文を見ながら考えてみましょう。

・昨今世界中を襲っている自然災害は、人類の行き過ぎた科学技術による自然破壊に警鐘している可能性があります。

最初に解説した例文を「警鐘する」で言い換えたものです。この形でも何となく意味は分かるので問題はなさそうですが、間違いです。

「警告する」「連絡する」のように名詞に「する」という動詞が付いた言葉を「サ変動詞」といいます。ただし、全ての名詞に「する」が付けられるわけではありません。

「する」を付けて「サ変動詞」にできる名詞は、動きを表す名詞です。「警鐘」の元々の意味は「かね」であり、動きではなく物なので「する」を付けることはできません。

文豪の使用例

「警鐘」は小説や随筆などの文学でもよく使われています。ここでは言葉の達人である文豪がどのように「警鐘」という言葉を使っているのかを見ていきましょう。

有島武郎

最初に紹介するのは小説家の有島武郎の作品です。「カインの末裔」や「或る女」などの小説や「惜しみなく愛は奪う」などの評論が代表作です。婦人記者との心中という最期も有名です。

取り上げた作品は「An Incident」という小説です。「警鐘を聞いた消防夫の敏捷さ」という表現が使われています。ここでの「警鐘」は本来の意味である「危険の訪れを知らせる鐘」という意味で使われています。

妻は夢心地に先程から子供のやんちやとそれをなだめあぐんだ良人の声とを意識してゐたが、夜着に彼の手を感ずると、警鐘を聞いた消防夫の敏捷さを以て飛び起きた。有島武郎「An Incident」

出典: https://www.aozora.gr.jp/cards/000025/files/4490_14852.html |

高浜虚子

次に紹介するのは俳人、高浜虚子の評論です。大正、昭和を代表する俳人ですで、俳句だけでなく、「俳諧師」などの小説も残しています。

取り上げた作品は「進むべき俳句の道」という評論です。「警鐘を撞いた(ついた)」という現代ではあまり使われない表現ですが、意味は「警鐘を鳴らす」とほぼ同じです。

私が嘗て自ら守旧派と号したのも必竟は此の浮薄なる趨向に反対し、軽率なる雷同者に警鐘を撞いたのである。高浜虚子「進むべき俳句の道」

出典: https://www.aozora.gr.jp/cards/001310/files/49629_61224.html |

「警鐘」の類語

「警鐘」には多くの類語があります。「警鐘」は現代でも使われる言葉ですが、日常生活ではそれほど耳にしないので、もう少し易しい言葉で言い換えられるようにしておきましょう。

ここでは「警鐘」の類語をいくつか取り上げて解説します。

元々の意味の類語

最初に解説するのは「警鐘」の元々の意味である「災害などの危険を知らせるための鐘」の類語です。最初に解説したように、この意味で「警鐘」という言葉が使われることは、現代ではあまりないので、類語で言い換えるようにしましょう。

合図

「合図」とは「あらかじめ決められた方法で物事を知らせること、またその方法」を意味する言葉です。「相図」と書く場合もありますが、一般的には「合図」と書く場合がほとんどです。例文を見てみましょう。

・クレーン上での作業が終わったので、運転手にクレーンを下げるように合図しました。
・車が故障してしまったので、通りかかった車に助けを求めるための合図を送りました。

「合図」は基本的な決められた方法である、ということが重要です。例えば手を決められた方法で振ったり決められた声を出したりすることで、相手に物事を伝えます。

特定の相手と話し合って決めた方法だけでなく、世間で一般的に通用する「合図」もあります。例えばタクシーを拾うときにほとんどの人は手を上げます。これも「合図」の一種です。

信号

「信号」とは「言葉以外の方法で離れた相手に物事を伝えること、またその方法」を意味する言葉です。交通整理で使われる信号(赤信号、青信号など)が有名ですが、それだけではありません。ここでいう方法は、音や色、形、光など、ありとあらゆるものが含まれます。

信号は現在では名詞として使われる場合がほとんどであり、「警鐘」と同じく「する」を付けて使われることはまずありません。しかし、実は「する」を付けてサ変動詞として使うこともできます。

引用するのは詩人、童話作家として有名な宮沢賢治の代表作「銀河鉄道の夜」の一節です。「信号してる」という形で動詞として使われています。このように「する」を付けても間違いではありませんが、現在ではあまり見られない表現なので、使う際には注意しましょう。

「あの人鳥へ教えてるんでしょうか。」女の子がそっとカムパネルラにたずねました。「わたり鳥へ信号してるんです。きっとどこからかのろしがあがるためでしょう。」カムパネルラが少しおぼつかなそうに答えました。宮沢賢治「銀河鉄道の夜」

出典: https://www.aozora.gr.jp/cards/000081/files/456_15050.html |

半鐘

「半鐘(はんしょう)」とは「火事や洪水などの危険を知らせるための小さな鐘」を意味する言葉です。元々は危険を知らせるためではなく、寺院などで合図として使われていた鐘ですが、江戸時代になると危険を知らせるための鐘として使われるようになりました。

サイン

「サイン」とは「信号、符号、または信号を送ること」を意味する言葉で、英語の「sign」を日本語に取り入れた言葉です。日本語では名詞として使ったり「サインする」という形で動詞として使うこともあります。

日本語では「署名」という意味もありますが、英語では署名は「signature」「autograph」と言います。また英語では「看板」という意味もあり、幅広い意味で使われている言葉です。

例えとしての類語

次に解説するのは例えとしての「警鐘」の類語です。「警鐘を鳴らす」という形で「危険を知らせる」という意味でも使える言葉なので、この意味の類語もいくつか覚えておきましょう。

警告

「警告」とは「よくないことが起きそうなことを知らせて注意を促すこと」を意味する言葉です。名詞としても「警告する」という形で動詞としても使われます。「警鐘」の例文を「警告」で言い換えてみましょう。

・昨今世界中を襲っている自然災害は、人類の行き過ぎた科学技術による自然破壊に対する警告の恐れがあります。

「警鐘」を「警告」で言い換えても意味は変わりません。あえて違いを挙げると、「警鐘」はやや大げさな場面で使われることが多い言葉であるのに対し、「警告」は日常的な場面でも使えます。

忠告

「忠告」とは「心を込めて相手の過ちを戒めること、またその言葉」を意味する言葉です。「忠告する」という形で動詞としても使います。

「警鐘」や「警告」との違いは「心を込めて」という部分です。相手のためを思って、あえて相手の過ちを注意するということであり、単に危険を知らせるということではありません。主に対人関係の中で使われる言葉です。

釘を刺す

「釘を刺す」とは「相手が約束を破ったり言い逃れをしたりしないように念を押す」という意味の慣用句です。例文を見てみましょう。

・友人から金を無心されたので仕方なく貸したが、必ず期日までに返すように釘を刺しておきました。

例文は「友人から金を貸すように頼まれたので貸したが、期日までに返すように念を押して言い聞かせた」という意味です。このように念を押すさまを、釘をしっかりと打ち付ける(刺す)ことに例えた言葉です。

狼煙を上げる

「狼煙(のろし)を上げる」とは「大きな物事が起こる合図をする、または行動を起こす」という意味です。本来の意味は「合図のために狼煙を上げること)を意味する言葉ですが、例えとしても使われるようになりました。

「狼煙が上がる」という形で「大きな物事のきっかけとなるようなことが起こる」という意味でも使われます。

「警鐘」と「警笛」の違い

「警鐘」と似た意味の言葉に「警笛(けいてき)」があります。「警笛」とは「注意を促すために吹く笛」を意味する言葉です。確かに似た意味を持つ言葉ですが、違いもあります。ここでは「警鐘」と「警笛」の違いについて詳しく解説します。

「警笛を鳴らす」と言える?

「警鐘」は「警鐘を鳴らす」という形で「危険が迫っていることを知らせる」という意味でも使えますが、「警笛」にそのような意味はありません。「警笛」はあくまでも具体的な笛を意味する言葉であり、例えとしての意味はありません。

仮に「警笛を鳴らす」と言ったとしても「注意を促すための笛を鳴らす」という意味にしかなりません。それどころか「警鐘を鳴らす」の間違いだと思われてしまう可能性があるので、注意しましょう。

易しい言葉と難しい言葉を使い分けよう

「警鐘を鳴らす」のような言葉は日常会話での使用にはあまり適していません。大げさに聞こえてしまいますので、「警告する」「注意する」などの易しい言葉で言い換えたほうが無難です。

しかし「警鐘」のような難しい言葉を知らなくともよいというわけではありません。ビジネスのような堅苦しさが求められる場面では、易しい言葉よりも「警鐘」のような難しい言葉が適していることもあります。

同じ意味を持つ言葉でも微妙な意味の違いや言葉が持つ雰囲気によって使い分けられるように、普段から意識しておきましょう。

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