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2018年12月18日

「所以」の意味と使い方・読み方・例文・「由縁」との違い・類語

若い人は「所以」という言葉を知らない人も多いでしょう。日常会話ではほとんど使わない特殊な言葉「所以」ですが、意味や使い方から、語源や由来まで解説します。日本語の奥深さや歴史を辿ることで、日本語の知識を広げる参考にしてください。

「所以」の意味と使い方・読み方・例文・「由縁」との違い・類語

「所以」の意味と使い方

「所以」の意味と使い方・読み方・例文・「由縁」との違い・類語

「所以」という言葉、聞き慣れないとおもう人、いやいや良く聞きますよという人、両方いるでしょうが、どんな場面でどんな風に使うのが正しいのか、自信を持って断言できる人は少ないのではないでしょうか。

その理由は「所以」という言葉が、日々の生活の中で、日常的に頻繁に使われる言葉ではないからです。そこでこのコーナーでは、「所以」という言葉の意味や使い方を、しっかりと知っていただけるよう解説していきます。

所以の意味

「所以」の意味と使い方・読み方・例文・「由縁」との違い・類語

「所以」の品詞は名詞で、意味は「理由」と同じなので、従って「~の所以(理由)なり。」という風に、「所以」の前に原因を説明して、「所以」を文末を締めくくる意味で使います。

古文では「ゆゑん」という旧仮名遣いが使われていたことや、由来や語源が旧仮名遣いからきていることもあって、当用漢字である「理由」とは違い古めかしさを感じますが、まだまだ死語ではないので、時々は使われる言葉です。

所以の由来

「所以」の由来は、漢文の「所以」を訓読「故(ゆえ)になり」と和訳したことから来たのではないかといわれています。

国語辞書によると「故(ゆえ)」は、「事の起る理由(わけ)」とか、「原因」、「理由」といった意味とあり、「以」の意味は「範囲・方向などの基点を示す意味(例→以上・以前・以後・以降・以東・以西・以外・以内・以往・以来・以遠など)である、いう解説があります。

所以の語源

「所以」は、中国の「理由」を説明するときに使う「所以(スォイー)」が語源という説があります。

中国では何かの「理由」を説明する時に、「所以」という単語を使いますが、これは日本語で言う「故に」の意味と同じなので、この読み方に「なり」を付けて、「何々の理由になります」という意味で「所以(ゆえん)なり」が使われるようになり、それがさらに変化して「所以(ゆえん)」となったという説が有力です。

所以の使い方

「所以」の意味と使い方・読み方・例文・「由縁」との違い・類語

「所以」は、「理由」や「わけ」と同じ意味ですから、使い方も「何々」という「理由」の説明の後に「だからこうなった」という締めくくる意味で使います。

「所以」の由来や「語源」が古語や漢文からきているという説が有力であるように、当用漢字ではありませんので、日常会話で頻繁に使われることはありませんが、小説や古文書などでは良く使われていますので、「所以」の使い方を知識として知っておくことは無駄にはなりません。

例文

ここでは「所以」を使った例文を幾つか紹介します。以下が例文になります。

例文1:夏目漱石の「こころ」が彼の代表作といわれる「所以」は、彼が晩年に達した境地「則天去私」の思想への道筋が描き出されているからです。

例文2:彼女が誰も彼もから愛される「所以」は、相手を選ばずに誰にでも明るく接する性格にあるといえましょう。

例文3:黒沢晟が巨匠といわれる「所以」は、徹底してリアルを求めた映画の完成度にあります。

漢文

「所以」の語源は、漢文の「所以」を訓読みした「故(ゆえ)になり」であるという説があり、この訓読みが日本的な音読みの「ゆえん」となったといわれています。

漢文とは一口でいうと「古代中国の文語体の文章」ということになります。漢の時代(、前漢→紀元前206年 - 8年)と後漢(25年 - 220年)に確立した漢字だけで書かれた文章のことですが、有名な秦の始皇帝の時代の後になります。

「所以」の読み方

漢文が日本に広まったのは、西暦285年(奈良時代)ごろという説もありますが、定説ではありません。

古事記と同年代に書かれた日本書記(奈良時代に成立した日本の歴史書)には、日本書紀の記述者は渡来人(中国系)であると書かれていて、この頃漢文が日本に入って来たのであろうと推測されています。

渡来人によって入って来た漢文を、日本人が訓読みで解読したものの一つに「所以」が含まれるといわれています。

訓読み

漢文(漢字だけの文章語)を日本人がわかるように訓読みしたものを、「漢文訓読語」といいます。

訓読みとは、伝来した漢字を、日本人に分りやすい読み方に変えた形の事をいいます。勢という漢字は音読みでは「せい」ですが、「いきおい(訓読み)」とすれば意味がつうじます。

有名な漢詩「国破山河在」を、日本的に解読(訓読み)すると、「国破(くにやぶ)れて山河(さんが)在(あり)」となり、意味がよくわかります。

音読み

「所以」の意味と使い方・読み方・例文・「由縁」との違い・類語

所以を音読みすると「しょい」となりますが、これは中国の「所以→スゥオイー」の発音をそのまま表したので「音読みになった」というのが、音読みの有力な説です。

音読みはそれだけでは意味がつうじない単語で、しかも送り仮名が付かないという特徴があります。また読み方がカタカナのものとひらがなのものがありますが、カタカナで書かれているものは音読み、ひらがなで書かれているものは訓読みであることも覚えておきましょう。

「所以」を使った例文

「所以(ゆえん)」は、中国の「所以(スゥオイー)」の発音をそのまま「しょい(音読み)」と発音して定着させたところから生まれた言葉とされています。

中国における「所以(スゥオイー)」の意味は、「~という理由で」という意味なので、その意味がそのまま日本でも使われるようになったといわれています。

そして「所以」を訓読みして「ゆえになり」に、やがて「ゆえなり」から「ゆえん」に音変化したと考えられています。

良く使われる例文

「所以」の意味と使い方・読み方・例文・「由縁」との違い・類語

「所以」はもともと中国の漢文(漢字だけの文章語)から派生(あるものから別の物(事)が枝分かれして生れること)した言葉なので、日常の会話で使われることはほとんどありませんが、評論などには良く出てくる言葉です。以下で例文を紹介します。

例文:司馬遼󠄁太郎が不出世の作家といわれる所以は、文化勲章を受章したということなどではなく、完璧さを求めた執筆姿勢にあるといわれています。

「所以」と「由縁」の違い

「所以」の意味と使い方・読み方・例文・「由縁」との違い・類語

「所以」と「由縁」の読み方ですが、所以は「ゆゑん」で、「由縁」は「ゆえん」となります。ではこの2つの言葉はどうちがうのでしょうか。

「所以」と「由縁」は読み方も同じで意味も似ていますが、所以は「理由」が主な意味で、由縁は主に「事の起り」を言い表す言葉です。

同じような意味なのに微妙に違う「所以」と「由縁」ですが、以下でそれぞれの例文を幾つか紹介しますので、違いを実感して下さい。

「所以」の例文

「所以」の例文には次のようなものがあります。

例文1:あの二人は本当に考え方も物の見方も違いすぎる。そこが二人を犬猿の仲にしている「所以」だろう。

例文2:彼のあの横柄な態度が、誤解を招く「所以」であると友人は指摘している。

例文3:この商品がここまでヒットする「所以」は何か、彼はその根拠を突き止めることで、更なる飛躍に繋(つな)がることを確信した。


などになります。

由縁の意味

由縁には2つの意味がありますが、主なものは「事の起り」や「わけ」であり、2つ目は「関係」や「縁(ゆかり)」になります。

「わけ」については所以の「理由」に似ていますが、微妙にニュアンス(色あいや音の調子などが、ほんのわずかでありながら、かなり違う印象を与えること)が違います。

「所以」は日常の会話で使われることは少ないですが、「由縁」の方は時には使われる言葉です。以下で幾つか例文を紹介します。

「由縁」の例文

「由縁」の例文は以下のようになります。

例文1:彼女とは由縁はないのですが、親の代からの付き合いもあって、親しくさせてもらっています。

例文2:彼があそこまで自己主張する由縁は、彼の過去の生きざまも関係しています。

例文3:彼が何の由縁もない彼女の面倒をみているのは、彼の優しさからだけではなさそうですが、他人がとやかく言う事でもないですし。


などになります。

「所以」の現代仮名遣い

「所以」の意味と使い方・読み方・例文・「由縁」との違い・類語

平仮名が発明された平安時代には、旧仮名の「ゑ」と現代仮名の「え」は全く別の「字」だったと考えられていますので、「所以」はあくまでも「ゆゑん」であり、現代仮名遣いの「ゆえん」は間違いになります。

「ゑ」はかってWeと発音され、「え」はYeと発音されていたと考えられています。鎌倉時代(推定)にWeがYeに吸収され、「え」が現代のようにeと発音されるようになったのは、江戸時代後期といわれています。

「所以」の類語

「所以」の意味と使い方・読み方・例文・「由縁」との違い・類語

類語とは、同じような意味を持つ言葉という意味で、「所以」の類語には、「由来」や「理由」や「わけ」、「事由」や「理屈」や「いわく」、「根拠」や「証拠」や「証し」、「裏付け」や「一理」や「筋合い」などがあります。

「所以」は日常会話では余り使われませんが、類語には使われることの多い言葉がいくつかあります。以下で「所以」の類語について例文をいくつか紹介しますので、所以の代わりに使う参考にしてください。

「所以」の類語の例文

ここから以上で紹介した類語について、それぞれ例文を紹介しますので、正しい使い方の参考にしてください。まず「由来」の例文から紹介します。

例文1:この神社をここに建てた「由来」をご存知でしたら教えていただけませんか。

例文2:法要のあとに振る舞われる「おとき」の由来は、質素な食事を心掛け、煩悩を排除して暮らす修行僧の戒律「斎戒」からきているといわれています。

「理由」の例文

「理由」は「所以」の類語の一つですが、例文は以下のようなものがあります。

例文1:彼が自主退職した理由は、早期退職勧告を受けたせいだという人もいますが、本当のところは分りません。

例文2:彼女が表彰された理由は、長年神社の庭をボランティアで掃除してきたという事らしいです。

例文3:山岡鉄舟が勲三等の叙勲を断った理由は、使者として来た井上薫より、低い勲章だったからだという。

「わけ」の例文

「所以」の類語「わけ」の例文は以下のようになります。

例文1:君が何をそんなに怒っているのか俺には心当たりがないのだが、「わけ」をいわなければ、対処のしようがないではないか。

例文2:先程すぐに電話に出られなかった「わけ」を、詳しく話すと長くなりますが、実は突然変な来客があって、応対に右往左往していたんですよ。

例文3:せっかくいただいた贈り物ですが、立場上いただく「わけ」にはゆきません。

「事由」の例文

所以の類語「事由」は、何か問題が起きた時に、提出文書に書く問題発生の原因のことですが、例文は以下のようになります。

例文1:事由書の書き方が分らない場合は、この前例書を参考に作成してください。

例文2:トラブルを繰り返さないためにも、事由書の作成にはしっかり事前調査をし、トラブルの発生原因を突き止める必要があります。

例文3:この問題に関してあなたが関係していないなら、事由書を書く必要はありません。

「理屈」の例文

「所以」の類語の「理屈」は、日常会話でも良く使われる言葉です。例文を以下で幾つか紹介します。

例文1:彼は「理屈」っぽいところが、周りから敬遠される理由になっているけど、実際にはいいやつなんですよ。

例文2:彼女の言い分は、「理屈」としては筋もとおっていますし共感できるところもありますが、少し過激過ぎるきらいがあります。

例文3:何もかも「理屈」どおりに事を運べれば苦労しません。

「いわく」の例文

所以の類語「いわく」には、「込み入った事情」や、「誰誰が言うには」という意味があり、また「何となく~ありそう」という時などに使われますが、例文は以下のようになります。

例文1:彼女の奥歯にものが挟まったいい方には、隠された「いわく」を感じます。
例文2:彼「いわく(曰く)」、この地にこの家を建てた理由は、景色が抜群だったから。
例文3:あの古民家にはなんとなく、「いわく」ありげな雰囲気が漂っている。

「根拠」の例文

所以の類語「根拠」は、「物事が存在する理由」が主な意味になります。例文は以下のようなものがあります。

例文1:彼の疑念には根拠がありません。推測による独りよがりな考えは危険です。
例文2:こういう結果になったのには、実は根拠があるのですが、そこを改善しない限り、結果の改善は見込めません。

「裏付け」の例文

所以の類語「裏付け」は、品詞は名詞に入り、「裏を張って丈夫にする」という意味から、「物事を確実なものとする」という場合に使われることの多い言葉です。例文は以下になります。

例文1:彼のいまの地位は、努力という「裏付け」があったからこその結果でしょう。
例文2:模擬試験まで頑張って勉強した「裏付け」があって、希望の大学に入学できました。

「筋合い」の例文

所以の類語「筋合い」は、「確かな理由や根拠がある事(関係)」という意味があります。例文は以下のようなものがあります。

例文1:赤の他人のあなたに、私の恋愛に口をはさまれる「筋合い」はないとおもいますよ。
例文2:できるだけの協力をしてきたのに、今さらあなたに文句をいわれる「筋合い」はないとおもいます。

「所以」は類語の活用で生かそう

「所以」の意味と使い方・読み方・例文・「由縁」との違い・類語

「所以」は日常会話ではほとんど使われない言葉ですが、類語がたくさんありますので、類語を代用して「所以」の意味を表現しましょう。

所以は漢文から派生したといわれる言葉ですから、普段使いには不向きですが、類語の利用で同じ意味を表現することは容易いです。大いに類語を活用しましょう。

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