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2018年09月29日

退職金制度の種類一覧・廃止になったのか・共済との違い|特徴別

会社を辞める時気になるのが退職金です。この記事では退職金制度について、制度の仕組み、求職する時のチェックポイント、日本の代表的な企業の退職金制度などについて、具体例をあげて説明しました。就職する前にも就職した後にも退職金規定をチェックすることをお勧めします。

退職金制度の種類一覧・廃止になったのか・共済との違い|特徴別

退職金制度とは

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退職金制度は、企業が長い間働いた社員の労をねぎらう報奨金制度の一種で、江戸時代の「のれんわけ」に由来します。この記事では、退職金制度の歴史や種類、運用例をいくつかあげて、わかりやすく解説します。

退職金制度の定義

「退職金制度」は、正式には「退職給付制度」と呼ばれています。厚生労働省は『平成25年就労条件総合調査結果の概況(平成29年2月改訂)』の中で、退職金制度について、このように定義しています。

『「退職給付(一時金・年金)制度」 任意退職、定年、解雇、死亡等の事由で雇用関係が消滅することによって、事業主又はその委託機関等から当該労働者(又は当該労働者と特定の関係にある者)に対して、一定の金額を支給する制度をいう。』

退職金制度の3つの考え方

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退職金が支給される企業と支給されない企業があります。それぞれの企業で退職金制度に対する考え方が違うからです。ここでは歴史の流れに沿って現れた、退職金制度についての3つの考え方をご紹介します。

1.従業員への功労金

「退職金は企業が長年勤めた社員の労をねぎらう報奨金の一種である」という考え方があります。退職金制度の始まりは江戸時代の「のれん分け」に遡ります。「のれん分け」とは、丁稚奉公の年季があけた丁稚さんへ、商家が営業する権利を分けたり、独立資金を渡したりする習慣のことで、功労・慰労の意味がありました。

2.従業員に払う賃金の一部

「退職金は賃金の一部である」という考え方もあります。退職金制度が広まったのは明治時代ですが、企業の多くは、物価上昇と同じ速度で賃金を上げることができませんでした。そこで、物価上昇分の賃金を、従業員が退職する時に「退職金」という形でまとめて支払う制度が作られ、退職金は「賃金の後払い」の側面を持つようになりました。

3.従業員の老後資金の一部

近年、日本人の平均寿命が延びたため、定年退職時に、ある程度のまとまった金額になる「退職金」は、社員の「老後の生活資金の一部」と考えられるようになりました。

厚生労働省が発表した「簡易生命表」によると、2017年の日本人の平均寿命は女性が87.26歳、男性が81.09歳で、いずれも過去最高記録を更新し、退職金制度は「老後の生活資金を確保する方法」として重要な存在になっています。

企業が退職金制度を導入するメリット

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企業が退職金制度を導入するメリットは3つあります。

1.従業員が長く働いてくれる
2.従業員のモチベーションが上がり、業績が上がる
3.新しい人材確保が容易になる

従業員の勤労意欲を引き出し、優秀な人材や新しい人材の獲得にもつながるため、多くの企業が、さまざまな形で退職金制度を導入しています。

退職金制度のチェックポイント

「就業規則」に掲載されている「退職金規定」のチェックポイントは3つあります。

1.退職金を受け取れる条件
2.退職金の支払い方と支給金額の計算方法
3.倒産など、緊急事態の制度変更に関するただし書き

厚生年金基金・確定給付企業年金・確定拠出年金・企業年金連合会が管理している通算企業年金は、転職先の企業年金に移行できるようになったので、勤務先の就業既定をチェックすることをお勧めします。

退職金制度の種類と特徴

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退職金制度は2種類ある

退職金制度には「退職一時金制度」と「退職年金制度」があります。多くの企業で採用されている「退職一時金制度」は「社内独自の制度」で、生命保険会社や金融機関に「外部委託」する「企業年金制度」に比べると、比較的自由に制度設計することができます。この項目では「退職一時金」と「退職年金」の違いを説明します。

退職一時金制度とは

「退職一時金制度」は、退職者が企業からの退職金を一括で受け取る制度です。企業にとって、退職金給付制度を自由に決められ、資金流用ができる半面、従業員の退職時に支払う金額が多いために負担が大きい制度です。退職者が受け取る退職一時金は「退職所得」となり、「退職所得控除」が適用されます。

退職年金制度とは

「退職一時金制度」では、従業員の退職時には多額の資金が必要なため、退職金を分割して利息を上乗せして支払う「退職年金」という考え方が出てきました。「退職年金」を外部委託すると、企業は退職金の支払い金額を平準化でき、保険料を全額損金算入できるので税制面で有利になります。

なお、定年退職者が受け取る年金は「雑所得」となり「公的年金等控除」が適用されます。

代表的な退職金制度5つ

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退職金制度は数多く存在します。

ここでは、大企業で導入されている代表的な退職金制度「確定給付企業年金」「確定拠出年金(企業型)」、中小企業が加入している「中小企業退職金共済」「特定退職金共済」、個人事業主や小規模事業者が加入できる「小規模企業共済」についてみていきましょう。

大企業で導入されている退職金制度

資本金3億円以上、従業員300人以上の大企業には、受け取れる金額が決まっている「確定給付企業年金」と、企業が確実に一定金額を拠出する「確定拠出型年金」が導入されています。

似ているようで違う2つの退職金制度について説明します。

1.確定給付企業年金(DB)

「確定給付企業年金」は、従業員が将来受け取る「給付額」があらかじめ約束されている企業年金制度です。生命保険会社・信託銀行が運用を担う「規約型」と、企業年金基金が運用を担う「基金型」の2種類があり、生命保険会社などから退職者へ直接支払いが行われます。

退職金は、60歳~65歳でもらえる「年金」と、退職時に受け取る「一時金」から選択できます。

2.確定拠出年金(企業型DC)

「確定拠出年金」は、企業が拠出する「掛金」が確定している企業年金制度で、運用した資産は60歳以降に受け取ることができます。

企業は毎月決まった金額を社員の口座に積み立てることにのみ責任があり、実際の運用は従業員個人に任せる制度で、給付額は個人の運用次第で増減し、企業は最終的な給付額に責任を持つ必要がありません。会社が破綻した場合も、従業員の口座にある年金資産は影響を受けません。

中小企業が加入する退職金共済制度

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企業年金は生命保険会社などとの契約が必要です。従業員数が100名に満たない場合や、年金資産が少ない場合は導入が難しく、中小企業が契約できないケースが多いため、国として対策が必要になりました。

昭和34年、中小企業が加入できる「中小企業退職金共済制度」と「特定退職金共済制度」が作られました。この2つは従業員に退職金を給付する共済型退職金制度で、転職しても、通算制度を利用して退職金を増やすことができます。

1.中小企業退職金共済(中退共)

「中小企業退職金共済(中退共)」は、独立行政法人勤労者退職金共済機構・中小企業退職金共済事業本部が運営し、掛金は全額企業負担ですが、国の機関が積立金を管理運用しているため、退職金は企業を通さず従業員に直接支払われます。

特徴を3つあげましょう。

1.掛金は5,000円から16種類、従業員ごとに掛金を設定できる
2.国の一部助成がある
3.提携しているホテルやレジャー施設割引がある

2.特定退職金共済(特退共)

商工会議所・商工会・商工会連合会などの特定退職金共済団体が運営する「特定退職金共済(特退共)」は、加入企業の従業員が退職すると、特定退職金共済団体から退職一時金や退職年金などが支払われる制度です。

ポイントを3つあげておきます。

1.従業員数・出資額などに関係なく加入できる
2.掛金が1口1,000円単位で設定できる
3.死亡による退職の場合、遺族に一時金が出る

個人事業主も加入できる小規模企業共済

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独立行政法人中小企業基盤整備機構が取り扱う「小規模企業共済制度」は、廃業や退職時に備えて資金を積み立てる制度で、個人事業主や小規模企業の経営者が廃業・退職すると一時金が支払われます。

1.月々の掛金は1,000円から500円単位で自由に設定が可能
2.掛金が全額所得控除できるなどの税制優遇制度がある
3.事業資金の借入れもできる

小規模企業の経営者にとってメリットが多い退職金制度です。

『確定拠出年金の教科書』で老後資金を蓄えよう

退職金運用にも活用されている確定拠出年金について、気になっている方も多いでしょう。『確定拠出年金の教科書』は、「お金との賢い付き合い方を教えてくれる第一人者」の山崎元氏が、確定拠出年金の活用法を実例を交えながら解説した本です。

退職金制度と退職金共済の違い

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企業が独自に決めているのが「退職金制度」、国や商工会議所などが運営しているのが「退職金共済」です。

「退職金制度」は、会社が独自に決めた退職金規定で退職金を支払うため、組織再編や業績悪化などが原因で、減額されることもありえますが、「退職金共済」は、会社が国や商工会議所などに、毎月共済に掛金を支払い、積み立てた分が退職金として支払われるため、従業員は会社が倒産しても退職金を受け取れます。

退職金制度は廃止になったのか

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長引く不況による株価低迷の影響で運用状況が悪化し、本来予定していた運用益を得られず、当初の約束分の退職金を給付できない企業も現れたため、国は新しい退職金制度を定めました。

1.平成13年 確定拠出年金(企業型DC)
2.平成14年 確定給付企業年金(DB)

新しいタイプの退職金制度ができる一方、時代に合わなくなった退職金制度もあります。ここでは、あまり使われなくなった退職金制度を2つをみてみましょう。

1.厚生年金基金制度

昭和41年に始まった「厚生年金基金制度」は、従業員の老後の生活保障のために、厚生年金にプラスして支給する企業年金制度です。

「厚生年金基金」の給付金は、基金が厚生年金保険の一部分を国に代わって運営する「代行部分」と、「独自部分」で構成されています。長引く不況による株価低迷の影響で、年金資産の運用状況が悪化し、年金給付の削減や「代行部分」の返上、基金そのものを解散するケースも増えました。

2.税制適格退職年金制度

昭和37年に始まった税制適格退職年金制度は、信託銀行や生命保険会社と契約して、会社独自の退職年金のルールを作ることができる制度でしたが、長引く不況のために、本来予定していた運用益を得られず、保険料の引き上げや不足分の穴埋めが必要となりました。

国の年金制度改革で「税制適格退職年金制度」は平成24年3月末に廃止され、解約、他の制度への移行が進められました。

企業別退職金制度の特徴

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退職金制度は企業によって異なります。ここでは日本の代表的な4つの企業、「読売新聞」「日清食品」「ヤマト運輸」「富士通」の退職金制度ついてみていきましょう。企業の価値観によって退職金制度が、いかに違ったものになるか、よくわかります。

読売新聞

読売新聞は全国紙で初めて確定拠出年金(DC)を導入しました。基本退職金の50%(西部本社は35%)が、60歳以降に年金として受け取れる「確定給付企業年金(DB)」、残りの基本退職金を、会社が拠出する掛金を従業員が運用して資産形成する「確定拠出年金(DC)」で運用できます。

日清食品ホールディングス

日清食品ホールディングスの退職金制度に「企業年金基金」があります。「企業年金基金」は、大企業や同業協会などの組織単位で設けられる「自社年金」「独自年金」と呼ばれる基金です。

年金原資は基金を元に運用されていますが、長期金利の利回りがマイナスになり、資金の運用がうまくいかなくなると、企業が将来の年金の支払いに必要な準備金が増え、経営を圧迫する要因になります。

ヤマト運輸

ライフワークバランスを重視した柔軟な働き方ができるヤマト運輸(ヤマトグループ)には、独自の「企業年金基金」があります。

ヤマトグループの「企業年金基金」は、加入後15年たつと受け取ることができますが、「ヤマトグループの企業年金基金加入事業所に勤務していること」「マネージ・正社員として5年以上勤続していること」の2つの条件を満たしていないと加入できません。

富士通

富士通は大企業で初めて「リスク分担型企業年金制度」を導入しました。「リスク分担型企業年金制度」は、平成29年に厚生労働省が創設した新しい制度で、3つの特徴があります。

1.企業が拠出金をまとめて一定の利回りを目指して長期運用する
2.確定給付型に比べて多くの掛金を企業が出すが、運用が不調で予定利率での運用に満たない分は補填しない
3.60歳到達前でも退職時に給付を受け取ることができる

いつも退職金制度のチェックを

日本の代表的な企業の退職金制度について解説しましたが、それぞれの企業の考え方によって、独自の退職金制度があることがおわかりいただけたでしょうか。退職金制度は時代の流れによって、刻々と変わります。就職前、就職した後も退職金制度について調べておくことをお勧めします。

退職金の仕組みについて知っておこう

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退職金については、企業によって考え方が異なり、退職金が多い企業、少ない企業、退職金を出さない企業もあります。退職金は、企業の業績・従業員の給与・勤続年数・職級・実績など、さまざまな要素が組み合わさって決まるものなので、業種が同じでも金額が同じではありません。

退職金は退職後の生活を支えるお金ですから、入社前に必ず調べ、制度変更がありうるので、入社後も時々退職金規定をチェックすることが大切です。

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