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2019年01月08日

株主名簿の記入事項・管理人・閲覧方法・変更方法|登記/会社法

「株主名簿」はたとえ数名の会社でも、法律で作成が義務づけられている書類です。会社の設立や登記、取引開始など、さまざまな機会で提出が求められる大事な書類でもあります。ここでは経営者が知っておくべき最も基本的な、最も必要とされる株主名簿の知識についてまとめました。

株主名簿の記入事項・管理人・閲覧方法・変更方法|登記/会社法

株主名簿の重要性

株主名簿の記入事項・管理人・閲覧方法・変更方法|登記/会社法

株主名簿は、株式会社に欠かせない名簿です。

ここでは、株主名簿とはなにかから始めて、作成方法、管理方法、閲覧方法などを知ることで、株主名簿に対する理解を深めていきましょう。たとえ数名の会社でも、株式会社であれば株主名簿は必要になります。

株主名簿とは

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「株主名簿」とは、株式会社の株を保有している人全員が記載されている名簿のことです。

株式会社を新たに立ち上げる場合、設立時に株主名簿を作成し、会社に備えておくことが、会社法で義務付けられています。株主名簿に記載されている株主が、新たに株を購入したり売却したりして、内容に変更があった場合は、適宜更新されなければなりません。

会社の設立届けや登記申請、銀行との取引開始、助成金の申請、ベンチャーキャピタルから出資を受ける時など、さまざまな手続きで株主名簿が必要になります。設立後もつねにアップデートして、最新の情報にしておくことが必要です。

株主名簿はなぜ重要か

株主名簿が重要なのは、会社と株主間に生じる義務と権利を保証する証書だからです。

株主名簿は、会社に対して大きな力を持っている人(法人)を、網羅的に記載したリストといえます。会社にとっては、その業務方針と成果をきちんと報告すべきリストであり、株主にとっては会社に対する権力の行使を保証してくれる証書になります。

株主名簿の記入事項

株主名簿の記入事項・管理人・閲覧方法・変更方法|登記/会社法

会社法121条に基づき、株主名簿には以下の事項を記入する必要があります。

1.株主の氏名(法人の場合は名称)と住所
2.各株主が保有する株式の数
3.各株主が保有する株式の種類(普通株式や種類株式)
4.各株主が保有する各株式ごとのの取得年月日
5.株券の番号(株券を発行している株式会社の場合)

「3.株式の種類」で、一般的に株式と呼ばれているものは「普通株式」のことです。一部の株式には、他の株式よりも権利が異なる(優先される)株式があり「種類株式」と呼ばれています。「5.株券の番号」は、2009年の株券電子化により、ほとんど発行されなくなっています。

株主名簿ついては決まった書式はありません。ネット上に標準的なテンプレートが多数アップされていますので、ご参照ください。

株主名簿の管理人

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株式会社は、自社の株主名簿に関して、「管理人」を設定することができます。管理人とは株主名簿に関してどのような役割を果たすのか、管理人を設定するにはどのような手順を踏む必要があるのかについて、みてみましょう。

管理人とは

株主名簿の管理人とは、株式会社に代わって、株主名簿の作成・管理を行う者のことです

会社法上、株式会社は、株主名簿の管理人を設置するかどうかを選択することができます。会社の規模が大きく株主も多数になる場合、社内で名簿管理に多大の手間をかけるのを避けるため、外部に管理人を設置します。通常、管理人には信託銀行が証券代行業務の一環として受託することが多いです。

管理人の設置方法

管理人設置の手順は、会社法で次のように定められています。

1.株主総会の決議により、会社に「株主名簿管理人を置く」ことを定款に記載する
2.株主総会(取締役会)の決議により、株主名簿管理人を決定する
3.株主名簿管理人との間で委任契約を締結する
4.株式名簿管理人を登記する

管理人を変更・廃止する場合も、株主総会(取締役会)での決議が必要になります。なお、株式を証券取引所に上場する場合は、上場審査基準で株主名簿管理人の設置が義務づけられています。

株主名簿の閲覧方法

株主名簿の記入事項・管理人・閲覧方法・変更方法|登記/会社法

株主名簿は、株主・債権者が閲覧の目的を明らかにして、その本店に請求すれば、いつでも閲覧が可能です。ただし、株主名簿には個人情報が含まれているため、個人情報保護の観点から制限がかけられています。どのような制限が、なぜかけられているのでしょうか。

株主名簿の閲覧制限

株主名簿の記入事項・管理人・閲覧方法・変更方法|登記/会社法

具体的には、会社法により「閲覧請求の拒絶理由」が定められています。

次のような場合、会社は株主や債権者からの閲覧請求を拒むことができると、会社法で定められています。

1.請求者が、権利の確保や行使のため以外の目的で請求したとき
2.請求者が、会社の業務遂行や株主共同の利益を害する目的で請求したとき
3.請求者が、株主名簿の内容を第三者に提供して利益を得るために請求したとき
4.請求者が、過去2年以内に、株主名簿の内容を第三者に提供して利益を得たことがあるとき

閲覧制限の理由

株主名簿に閲覧制限がかけられているのは、個人情報保護のためのほか、株主内での多数派工作などに悪用されるのを防ぐ意味があります。

株主名簿は個人情報を含んでいますので、本人の承諾なしに第三者に渡ってしまうことは避けなければなりません。また、株主名簿を使って株主の多数派工作を行うなど、会社や株主の利益を害することに悪用される事態も避けなければなりません。

なので、株主が株主名簿の閲覧請求をする際には、必ず会社に対して閲覧目的を伝え、承認を得る必要があります。

株主名簿の書換請求書の違い

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株主名簿に直接関係する書式として、書換請求書があります。ここでは、書換請求書とはどんな書式で、株主名簿とどのように関連するのか、および書換請求書にはどのような内容を記載するのかについて、ご紹介します。

書換請求書とは

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書換請求書とは、株主が株式を第三者に譲渡した場合に、会社に対して株式名簿の記載事項を書き換えてもらうよう請求する書式のことです。

会社は株主名簿に記載されている個人や法人を「株主」と認め、配当金を支払ったり、株主総会での議決権の行使を認めたりします。株主は、保有株式に変更があった場合、以下の手順で書換請求書を会社に提出します(正確には「株式名義書換請求書」といいます)。

1.株主と取得者間で、株式譲渡契約を締結する
2.株式会社に対し、共同で名義書換請求書を作成し、提出する

株主だけでなく、株式を譲渡される取得者共同で提出する点にご留意ください。

書換請求書に記載される内容

書換請求書には決められた書式はありませんが、一般的に以下の内容が記載されます。

1.名義書換株式数
2.株主と取得者それぞれの住所・氏名
3.株主と取得者それぞれの記名・押印

書換請求書を提出しないと、株主としての権利を行使できませんので、譲渡契約だけで終わらせず、必ず株主・取得者の方から会社に提出するようにします。

登記する時の株主名簿の書き方

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登記の際、法務局に提出する株主名簿は「株主リスト」といい、会社設立時に作成する株主名簿とは、記載内容が異なっています。

ここでは、登記の際の株主名簿=「株主リスト」の書き方について、詳しくみていきましょう。

登記には株主リストが必要

平成28年10月1日以降、株式会社の登記の申請に当たっては、添付書面として「株主リスト」が必要になる場合があります。

株主リストの添付が必要になるのは「株主総会の決議が必要な登記申請」を行う場合です。例えば、次のような登記申請は株主総会の決議が必要になるため、株主リストの添付が必要になります。

1.会社定款(目的)の変更
2.会社名の変更
3.本店の変更
4.資本金の変更
5.役員の変更など

株主リストに記載される内容

一般的な株主名簿は、株主全員の氏名・住所・株式数・株式種類・取得年月日を記載したものですが、株主リストは、記載対象者と記載内容が異なります。

株主リストの記載対象と記載内容は次のとおりです。

・記載対象:議決件数上位10位の株主、あるいは議決権割合が2/3に達するまでの株主の、いずれか少ない方の株主
・記載内容:氏名(名称)・住所・保有株式数・議決件数・議決件数割合

なお、株主総会の決議の中には、株主全員の同意が必要になるものがあります。その場合は
株主リストも、株主全員の記載が必要になります。

議決件数と議決件数割合の意味

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株主リストでは、株主全員が記載されているわけではないので、記載されている株主の議決に対する権限の大きさを示すために、「議決件数」と「議決件数割合」の記載が必要になります。

「議決件数」とは、それぞれの株主が保有する株式数を単位株数で割ったもの、つまり議決に対する権限の大きさを示しています。「議決件数割合」は、それぞれの株主が保有する議決件数を議決件数全体で割ったもの、つまり権限全体に占める割合を示しています。

詳しくは法務省のホームページに記載されていますので、ご参照ください。

株主名簿の変更方法

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株主名簿を変更するには、まず、会社に株式譲渡が承認される必要があります。ここでは、株主総会株式譲渡の申請から承認、株主名簿変更の申請から承認までを、一連のフローでご紹介します。

株式譲渡の申請から承認・契約締結まで

株主が「株主譲渡承認請求書」に、譲渡先・株式数・株式の種類を記載して申請するところからスタートです。株式譲渡の申請に対し、会社は株主総会を招集・決議を行い承認します。

1.株主から会社に対する株式譲渡承認の請求
2.会社による株主総会の招集・決議
3.株主に対する承認通知
4.株主と取得者間での「株式譲渡契約」の締結

株主名簿変更の申請から証明書の交付まで

株式譲渡契約の締結後、会社に対して株主名簿の変更の申請を行います。最後に、実際に書換が行われたかどうか、「記載事項証明書」を申請して確認します。

5.会社に対する「株主名簿書換請求書」の提出
6.会社による株主名簿の書き換え
7.取得者から会社に「株主名簿記載事項証明書」の請求
8.会社から取得者に「株主名簿記載事項証明書」を交付

株主名簿に関する法律

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株主名簿は、会社の株主に対する責任と、株主の会社に対する権限を保証する証書なので、その作成と管理が法律によって厳密に定められています。

それが「会社法」です。会社法は、会社の公正さや透明性がグローバルに求められる状況の中で、ますます厳密に運用されるようになっています。経営者にとって重要な知識です。ここでは、会社法が定める中で、経営者が知っておきべき、株主名簿に関連するものをピックアップしました。

会社法

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株主名簿に関する規定を定めているのは、会社法の121条〜126条です。それぞれの条文が規定する内容は、次のとおりです。

・第121条:株主名簿の作成義務と記載事項
・第122条:株主名簿記載事項の請求と交付
・第123条:株主名簿管理人の設置
・第124条:株主名簿による基準日
・第125条:株主名簿の設置と閲覧方法
・第126条:株主名簿による通知

株主名簿に関する法律は、記事内でほぼカバーされていますが、124 条と126条について補足しておきます。

124条の「基準日」についてです。株式には保有基準日という規定があり、基準日に株式名簿に記載されている人(法人)を株主として、配当や優待、議決決定権を付与しています。

126条の「通知」についてです。会社は議決事項がある場合、株主に株主総会の開催を通知しますが、通知は株主名簿に沿って行われます。

株主名簿の証明書

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株主は、会社に対して株主名簿に記載されている内容を、証明書として請求することができます。

この証明書を「株主名簿記載事項証明書」といいます。株主名簿に関連する証書の最後として、この証明書の利用目的や記載事項について確認しておきましょう。

株主証明書の利用目的

株式の売買をする場合、株主と株式取得者の間で、株主が本当に株式を保有していることを証明する手段として利用します。

最近では、ほとんどの会社で株券は発行されなくなりました。株券が無いと、株主が本当に株式を保有しているかどうかを、取得者が確認するすべが無くなります。そんな時、株式名簿記載事項証明書が、株式保有の証明書となります。

株主証明書の申請方法

申請には、会社ごとに決められている、特定の書式を利用します。

法律で決められている書式はありません。会社ごとに決められた書式がある場合が多いですが、一般的な申請書の記載内容は、次のとおりです。

1.申請年月日
2.申請する会社名・代表取締役名
3.申請内容(会社法第122条第1項に基づき株主名簿記載事項証明証を請求すること)
4.株主氏名
5.株主住所
6.押印

株主証明書の記載内容

記載内容は、株主について株主名簿に記載されている情報のすべてです。

1.株主の氏名(法人の場合は名称)と住所
2.各株主が保有する株式の数
3.各株主が保有する株式の種類(普通株式や種類株式)
4.各株主が保有する各株式ごとのの取得年月日
5.株券の番号(株券を発行している株式会社の場合)

株主名簿記載事項証明書には、会社の代表取締役の署名または記名押印が必要になります。

株主名簿は会社の義務と権利を証明する大事な書類

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株主名簿は、会社と株主がそれぞれの義務を果たし、権利を行使するための最も重要な証書です。

会社の規模を問わず、会社を公正で透明性の高い状態にしておくことで、経営者・株主双方の権利を守るための、最も基本的なツールが株主名簿です。グローバル化が進み、海外に事業を広げる日本の企業が増える中で、ますます厳密な運用が求められる基準でもあります。

必要なのは、すべての株主の名称・住所・株式数・株式種類・取得年月日だけです。決められた書式もありません。ただ、その都度、更新をお忘れなく。つねに最新の状態を維持することで、手順の公正さと透明性を高める手段でもあります。

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